さる子先生、こんにちは。
今日は干支(かんし)について教えて下さい。
こざるくん、こんにちは。
『かんし』っていうと聞き慣れないかも知れないけど、同じ文字で『えと』とも読むのよ。
『えと』なら聞いたことがあります!
「ね、うし、とら・・・」っていう、十二支のことですよね。
そうね。みんなが知ってる十二支「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」は、陰陽五行説に基づいて、時間を表すために考え出された符号なんだけど、それより前にあった空間を表すために考え出された「十干(じっかん)」という符号と組み合わされて使われる様になったの。それが『干支(かんし)』なのよ。
なるほど。『十干』と『十二支』を組み合わせたものが『干支』なんですね。
漢字が似てるから、なんだかこんがらがっちゃうなぁ~。
でも、『十干』って聞いた事ないなぁ~。
『十干』ってどう言うものなんですか?
十干は、五行説に基づいて、木火土金水の五つの元素を、天上の東・西・南・北・中央、地上の東・西・南・北・中央に配した事によって生まれた符号で、甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)の10種類があるの。そして、それらは、時間を除く全てのもの、つまり、空間を現しているのよ。
へぇ~。じゃぁ『十二支』はどういうものなんですか?
十二支はね、干支が空間を表しているのに対して、時間を表す為に作り出された符号よ。例えば、同じ様に太陽が出ていても、夏は暑くて冬は寒いでしょ。古代中国人は、太陽を初め、あらゆるものの強さは、季節、つまり時間と共に移ろうと考えていたんだけど、それを表す為に作り出されたのが十二支なのよ。
十二支ができた事によって、時間を十二進法で現す事ができる様になったんだけど、それだと暦を作るのには不便だったの。例えば、月の満ち欠けから、大体30日が1月と言うのは分かるけど、十二支を使用して日を表そうとすると、多ければ同じ月に3回同じ十二支の日が現れる事になって混乱するでしょ。
それを防ぐ為に、十干と十二支を組み合わせて作り出されたのが干支で、時間のみならず空間をも表しているから、時間を表す為だけでなく、様々な分野に使われる様になったの。つまり、干支は、空間と時間を表したもので、この世界の全てを表している符号という事ね。だから、算命学も、この干支を使って人間の運命を考察しているのよ。
へぇ~。時間と空間、この世界の全てを表しているなんて、干支って凄いなぁ~。
でも、具体的にどうやって、十干と十二支を組み合わせたんですか?
それはね、まず、十干の最初の「甲」に十二支の最初の「子」、十干の二番目の「乙」に十二支の二番目の「丑」、と言う様に、十干を基準として、十干と十二支を組み合わせていったの。そうすると、全部で60の十干と十二支の組み合わせが出来上がるでしょ。だから、干支の事を「六十干支」(ろくじっかんし)とも言うのよ。
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
子丑寅卯辰巳午未申酉
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
戌亥子丑寅卯辰巳午未
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
申酉戌亥子丑寅卯辰巳
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
午未申酉戌亥子丑寅卯
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
辰巳午未申酉戌亥子丑
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
寅卯辰巳午未申酉戌亥
この様に、干支は60個出来上がるんだけど、昔の人はこれで時間、つまり、年、月、日を表したの。すると、生まれた年の干支が、満60歳(数え年で61才)の時にもう一度巡って来る事になるんだけど、人間の平均寿命が今よりもずっと短い時代に、干支が一巡する程の間、長生きする事ができた事は、とても喜ばしい事だから、還暦のお祝いをする習慣が生まれたのよ。
へぇ~赤いちゃんちゃんこの還暦って、ここから来ているんだぁ~!?
そうよ。今は干支で暦を表したりはしないけど、それでも、慣習、文化として、干支はまだ日本人の心に残っているのよ。
ふ~ん。あ、干支の中に、聞いた事のある言葉がありますよ。
『戊辰戦争』とか『壬申の乱』とか、六十干支に関係があるんですか?
さすがこざる君、そのとおりよ。壬申の乱は、672年の壬申の年に起きた日本古代最大の内乱で、戊辰戦争は、1868年の戊辰の年に始まった内戦なのよ。
なるほど。干支は、余り使われなくなった今でも、ちゃんと残っているんですね。
干支について、よく分かりました。
さる子先生、ありがとうございました。
さるでもわかる算命学