十干(じっかん)は、空間を表す符号で、陰陽説・五行説の思想から生まれたものです。昔の人は「十干」と時間を表す符号である「十二支」を組み合わせて、六十干支(ろくじっかんし)を作成し、それを以て暦(年・月・日。カレンダー)を表していました。
今日では、十干はあまり馴染みがないかも知れませんが、役所や法律の世界では結構使われていて、例えば、民事裁判において、原告が提出する証拠は甲号証、被告が提出する証拠は乙号証と呼ばれています。
ここでは、十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)について、算命学地法に基づく意味合い(この十干の年・月・日に生まれた人に現れるであろう特徴。算命学の思想に基づくもので、特に地法では、人間の「役目」というものに焦点を当てている。)を簡単に解説しています。
尚、さる命学教室では、第2コマ目「十干の成立論」(基礎理論ブートキャンプでも扱います。)において、十干とは、そもそも何なのか、どの様に作られたのか、何を意味しているのか、どの様に用いられるのか等々、詳細に学ぶ事になります。
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→ 甲 ・ 乙 ・ 丙 ・ 丁 ・ 戊 ・ 己 ・ 庚 ・ 辛 ・ 壬 ・ 癸
十 干
甲(直)
陽の木性、樹木のイメージです。
独力で何かを守る役目を持っていますが、算命学において、「守る」とは、今あるものをその状態のまま維持することを意味しています。
職人肌で、頑固に我が道を進み、良くも悪くも、人の言葉に影響されません。しかし、周りに抑えてくれる人がなく、調子に乗りすぎると、自信過剰になって、自滅することになります。風雪に耐え、真っ直ぐ上へ上へと伸びていきますが、大木が折れると容易に再生しないように、一度大きな挫折をすると、容易に立ち直ることができません。
乙(曲)
陰の木性、草花のイメージです。
自ら中心となって集団を形成し、その力を結集して、何かを守る役目を持っていますが、算命学において、「守る」とは、今あるものをその状態のまま維持することを意味しています。
柔軟に身を処すことができるから、どのようなタイプの人とでも、上手く付き合うことができます。リーダーシップがあり、多くの人を纏めることができるのですが、和合や協調も、過ぎれば自分を見失う原因となります。しかし、何度踏まれても、折れたり枯れたりすることがない雑草のように、強靱な粘り強さ、挫けない心を持っています。
丙(明暖)
陽の火性、太陽のイメージです。
広い範囲に、正確な情報を伝達する役目を持っていますが、この場合、伝達する中身は、どのようなものであっても構いません。
太陽が万物を公平に照らすように、人に対して平等であり、あまねく情報を発信します。明るく、おしゃべりで、決断力がありますが、飽きっぽい所もあります。時と場所(タイミング)が合えば、光り輝きますが、調子に乗ると、何事もやり過ぎて、暑苦しく(鬱陶しく)なります。とても活動的な人と、全く行動しない人の両極端に分かれます。
丁(孤明)
陰の火性、灯火のイメージです。
周囲にいる者に対して、独自の感性を伝える役目を持っています。また、暗闇で人々を照らしたり、道標になるという役目もあります。
情が深く、洞察力に優れるものの、時に意固地になって、人を傷つけることがあります。ところで、地上にある火(灯火)は、昼間は目立ちませんが、夜になれば、その炎は目立ち、遠くからも見られるようになります。また、焚き火は、夏には人を遠ざけますが、冬には暖を求める人を集めます。このように、世の中が暗くなったり、動乱期に入ったりすると、大いに活躍します。
戊(不動)
陽の土性、山岳(人が住まない場所)のイメージです。
多くの人から信頼されるという役目を持っています。
剛胆で、どっしりと構え、人の上に立つ器量があります。しかし、それらが発揮されるのは、幼少期より苦労を重ね、心身共に鍛えられればの話であって、甘やかされ、鍛えられることがなければ、ただの愚痴っぽい人、始末に負えない人になってしまいます。幸運な人・不運な人の差が激しいと言えます。
己(広平)
陰の土性、田園・町(人が住む場所)のイメージです。
家族など、身近な人々から信頼されるという役目を持っています。
性情は庶民的で、家庭を大事にし、社会のルールから逸脱せず、平穏な生活を求めることから、まさに人間の標準型(多数派)と言えます。注意力はあるものの、機転が利かず、なかなか行動を起こさない傾向があります。
庚(鋭剛)
陽の金性、武器のイメージです。
独力で直接的な攻撃をする役目を持っていますが、算命学において、「攻撃」とは、自然の法則にしたがった正しい行いをすることを意味しています。
性情は、単純にして直情的で、正義感が強く、義を感じれば、自らの危険を顧みず、闘争の世界へ飛び込んでいきます。勇猛果敢で、闘争の世界、動乱の中で真価を発揮しますが、物事の本質を見定めることができ難く、判断力が劣るため、粗暴・残忍な行動をする虞があります。
辛(柔鋭)
陰の金性、宝玉のイメージです。
権力や法律など、間接的な力を使って攻撃をする役目を持っていますが、算命学において、「攻撃」とは、自然の法則にしたがった正しい行いをすることを意味しています。
自尊心が強く(プライドが高く)、何よりも名誉を重んじ、体裁を気にします。常に身なりに気を遣い、礼儀礼節をわきまえ、美意識や特別意識を強く持つなど、庶民的な感覚とはかけ離れた意識を持っています。平和・安定を好み、動乱には弱いと言えます。
壬(流動)
陽の水性、海・大河のイメージです。
新しい知識や知恵を学び、それを使って、何かを変えたり、創造したりする役目を持っています。
自分の許容できる範囲においては、時・場所・状況に応じて、行動を変える柔軟さを持っていますが、傍からは、掴み所がないと思われることがあります。知的好奇心が非常に強く、自らの目で見、耳で聞くことによって、様々なことを学ぼうとします。新しい知識や知恵を得ると、今あるものを変化させたり、新しいものを創り出したくなるのですが、必ずしもそれが人に喜ばれるものになるとは限りません。
癸(暗流)
陰の水性、雨・露のイメージです。
古い(伝統的な)知識や知恵を学び、それを使って、何かを変えたり、創造したりする役目を持っています。
他人には見えない所で、静かに、ゆっくりと、時間を掛けて学んでいき、やがては、非常に大きな知識や知恵を身に付けることになります。学者、教育者、戦略家、芸術家としての才があり、臨機応変に、且つ、慎重に、物事を処理することができます。慈悲深く、母のような愛情を所有していますが、その反面、情に溺れ易い面もあります。