最近、陰謀論が流行っているという報道を頻繁に見掛ける様になった。陰謀とは、密かに(好ましくない)計画を立てる事であるが、「陰謀論」という言葉は、私の持っている辞書には載っていなかった。そこで、陰謀論について語る前に、最初に言葉の定義をしておこうと思う。
陰謀論とは、絶大な地位・権力を所有する一部の者達が、自らの優位性を増進・維持する為に、嘘を拡散し、或いは、事実を意図的に公表しない等、様々な計略を巡らせていると考える思想である。
どうだろう、上手く定義出来ただろうか。何れにしろ、ここでは、陰謀論をこの様に定義し、話を進めていこうと思う。
いきさつ
さて、そもそも何故この様なテーマで記事を書こうと思ったかというと、算命学ブートキャンプの講義の中で、ニュース記事やテレビの情報番組で見たネタを話したところ、後で、コロナのワクチンが如何に危険か、そして、マスコミに乗せられて陰謀論者を攻撃するなんて許せない、私(=さる山隊長。以下、同じ。)はワクチン推進論者だ・・・という趣旨のメールが届いて、そのやりとりで、そらまめ社長がウンザリする・・・という出来事があったからだ。
因みに、ニュースの記事やテレビの情報番組で見たネタとは、最早詳細は覚えていないが、概ね次の様なものだ。
夫婦の一方が「コロナワクチンを打つとその中に混入している「何か」によって、操られる様になる。」、「コロナワクチンを打った人の体からは毒が出る。」という話を信じ込み、もう一方と大喧嘩をした挙げ句、家を出て行った。この様に、陰謀論を信じる様になると、人が変わった様になってしまい、それ迄の人間関係が大きく崩れる例が出ている。
「コロナワクチンには、マイクロチップが埋め込まれており、人口抑制の為、やがて多くの人が殺される様になる。」という話が一部で広まっている。
そして、この様にワクチンの危険性を語る俗説が広まりつつあり、憂慮される。
情報番組に出演していた医師が、陰謀論でコロナワクチンの危険を語り、反ワクチン運動をする人には、いくら医学的・科学的に説明しても、全く聞く耳を持たず、それは、あたかも宗教の熱心な信者の様なものだから、説得は不可能と語っていた。
それに対する私の感想は、次の通り。
- コロナワクチンにマイクロチップとか入っていたら、それを取り出して、証拠を示せばいいんじゃない?
- コロナワクチンを打った人の体からは毒が出るなら、その成分を分析して、立証出来るんじゃない? 何という物質で、どんな作用を人間に及ぼすの?
- まるでゾンビだな。『バイオハザード』も真っ青だ・・・苦笑。
- 言葉の通じないヤツには、何を言っても無駄。話せば分かるってのは、ありゃ嘘だな。
そもそも、国家というのは、血縁・地縁・言語・宗教・文化等、ある共通性を持つ人間の集団で、利益(安全保障)共同体であり、その最大の任務は、国民の生存を確保する事である。つまり、人は個人の力では、外敵を初め、色々な物事から自分の身を守れないので、国家という互助会(大きな意味での運命共同体)を形成しているのだ。それ故に、時に誤る事はあるかも知れないが、基本的に、国家は大多数の国民の生命と財産を守ろうとする。
この様に考えると、現在、世界の国々はワクチン接種を推奨しているが、これは、それを用いた場合と、用いなかった場合の予想される死者を勘案し、用いた方が多数(勿論、ワクチンを打つ事によって死ぬ人、障害を負う人は間違いなくいるだろうから、全員ではない。)の自国民の生命を守る事が出来るとの確信の下に、推進しているのだと理解出来る。
結果的に、大の虫を生かす為に小の虫を殺す事になるかも知れず、それは、小の虫からすれば、たまったものではないだろうが、それでも、国家の運営としては、これでいいのだと思う。
尤も、ワクチンに適さない者もいるのだから、正確な情報を公開した上で、最終的な決定は、個人に委ねて欲しいし、ワクチンを打たない者が不当に排斥されない様な制度が作られるべきだと思う。
言っておくが、私は数年後・数十年後のリスクを考え、又、アナフィラキシーショックで入院した経験がある等、自分の体の事を考え、ワクチンを打たない選択をする人の事を「愚か」とか「陰謀論者」と思った事は一度もない。
算命学での国家の捉え方
因みに、算命学では、国家は理(北方・水性)を持って運営しなければならないと考えている。しかし、とかく人民は情的(南方・火性)なので、時の支配者(現在は岸田政権。中央・土性)は、そのバランスを調整し、その時代と社会における民族の心とならねばならないとも考えている(算命学には、帝王学的な面もある。)。要は、上手くバランスをとらないと、国家が分断され、国家たり得なくなる(国が滅びる)という事だ。
その意味では、政府は人心に配慮し、常に正確な情報を広く知らしめ(南方・礼徳)、且つ、生活の平穏の為の具体的な手段(中央・信徳)を講じなければならない。人心が惑うのは、多くの場合、日々の生活が脅かされる時なのだから。
現在、ワクチン開発国を初め、先進国は、3回目のワクチン接種を行おうとしている。しかし、途上国にはワクチンは回って来ず、WHOの事務局長を初め、途上国の代表者達は、差別だ、途上国にも公平にワクチンを分配すべきだと言っている。しかし、国家が自国民の生命を優先するのは当たり前である。
ここで、先程の陰謀論の定義を思い出して欲しい。もし、世界を支配する様な勢力がいるとすれば、それは、疑いなく、ワクチンを開発できる先進国に属しているだろう。世界の人口を減らそうと画策し、(チップ入り?)ワクチンを用いるならば、それを(自らの属する)先進国の人に使うだろうか。
陰謀論者は、その辺りをどう考えているのだろうかとは思うが、面倒なので、教えてくれなくていい。
さて、そらまめ社長が受け取ったメールには、毎回、決まって次の様な趣旨の内容が記載されていた。
是非、ワクチン推進派のエビデンスを教えて欲しい。自分でも散々調べたが、ワクチン推進派のワクチンの効果のデータが一切ない。
・・・本気で言っているのか!?
厚生労働省のサイトや首相官邸のサイトに多くの生データや情報があるだろう。ワクチンの治験データだって公開されているだろう。一体、どういう調べ方をしているんだ!?
いい機会なので、少しデータを見てみよう。
因みに、ここで示すデータは、厚生労働省、及び、首相官邸から取得出来るデータを基に私が作成したものである。それぞれの数のカウント時期をどうするか、データ入力の遅れ等、色々問題があって正確性には欠けるが、それでも、目安にはなるはずだ。
データ元 https://covid19.mhlw.go.jp/
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html
このデータを見ると、ワクチン接種が開始された後、明らかに死亡率が下がっている。無論、これがワクチンの効果とは断言出来ないが、さりとて、ワクチンの効果と考えなければ、他に合理的な説明が付かない。
又、厚生労働省が作成したデータ(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000826597.pdf)によると、2021年7月の新型コロナウイルス感染症による(全死者の約85%を占める)70歳以上の致死率は、ワクチン未接種者3.48%、1回接種者3.07%、2回接種者1.41%となり、やはり、ワクチンは有効であると思われる。
この様に、ワクチンはどうやら効果ありそうだが、それでは、副反応はどうだろうか。副反応による死者が、ワクチンを打たない事による死者を上回れば、全体としてみれば、ワクチンを推奨すべきなのだろう。
「新型コロナワクチンにおける副反応疑い報告の概要」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000838806.pdf)によれば、令和3年9月12日迄に、ファイザー社ワクチンは、1億2278万9441回接種され、その後に死亡したとの報告がされたのは、1157件(65歳以上が1037件、65歳未満は112件、その他は不明。)だった。死亡報告数/総接種回数を計算すると、0.00094%となる。
一方、令和3年9月12日迄に、武田/モデルナ社ワクチンは、2344万7233回接種され、その後に死亡したとの報告がされたのは、33件(65歳以上が5件、65歳未満は、27件その他は不明。)だった。死亡報告数/総接種回数を計算すると0.00014%となる。
これらのデータにおける死亡報告数は、ワクチン接種との因果関係が明らかになっていないものを多く含む事から、実際の「死亡報告数/総接種回数」(ワクチン接種を原因とする死亡率)は、これよりも遙かに小さな値となるだろう。
さて、私は40代男性で、居住地で接種出来るのはファイザー社ワクチンなので、これをモデルに計算してみると、ワクチンを打つ事による致死率は0.0001%(1/10000)だ。
そして、厚生労働省のデータ(https://covid19.mhlw.go.jp/)によれば、2021年10月5日公表時点の40代男性の累積死者数は205で、40代男性の累積新規感染者数は15万281だから、致死率は、約0.14%(0.00136)だ。
という事で、私の場合、アレルギーもないし、高血圧でもないので、ワクチンを打っておいた方が生き残れそうだ(40代男性の累積死者に占めるワクチン接種者の割合が分かれば良かったのだが・・・)。
尤も、何れも1%以下の話なので、個人の範囲では、あまり変わらないのかも知れない。しかし、国家という単位で見るならば、この差は無視出来ないだろう。新型コロナウイルスは、感染力が非常に強いのだから尚更だ。
終わりに
算命学は、思想という無形の世界を扱う(当然、有形の世界も扱うが。)ので、とかく、陰謀論や迷信、俗説等と結び付き易い。
算命学の講師にも色々な人がいて、中には、「算命学を学んでいればコロナに罹らない。」という様な、メチャクチャな理論を唱える者もいる。それも、大手の学校の講師だ。陰謀論よりはいくらかましだが、やはり愚かしいし、算命学が誤解されるので、本当に、勘弁して貰いたい。
私は、さる命学教室の講義において、「算命学は、思想(哲学とも言える。)であって、事実でも、科学でも、常識でもない。故に、もしそれらがかち合うような事があれば、必ず、事実・科学・常識の方を選ぶように!」と口を酸っぱくして言っている。
確かに、算命学は科学ではない。しかし、だからと言って、メチャクチャな事は言わない。何故ならば、算命学は、徹頭徹尾、知性と理性によって自然の法則を捕まえようとする学問だからだ。そして、物事は、自然の仕組み(=法則)のとおりに起こるので、それに反した不思議な事は起こらない。この様に、算命学においては、「Don’t Think. Feel!」ではなく、「Don’t Feel. Think!」なのだ。
もう一つ、算命学は「中庸」というものを基準に物事の推移を予測しようとしている。中庸とは、簡単に言えば、「真ん中辺り」、つまり、平均だ。しかし、中庸は決して一つではなく、その時代・その社会によって異なる。故に、算命学を学ぶ者は、常に現代の日本における中庸というものを理解しておかなければならない。
さる命学教室の講義では、よく統計データが出てくるが、これは、「中庸」をつかむ為に最も効果的だからだ。「知り合いにこういう人がいる」とか、「芸能人がこうだ」という様な極少数の例では、中庸は測れない。
この記事を書くに当たっても、色々と統計データを参照したが、世の中の大枠を掴む為には、統計データはとても便利だ。なので、算命学を学ぶ者は、もっと統計データを見たら良いと思う。しかし、以前にも書いたが、算命学は統計学ではない。
参照記事 → https://sarumeigaku.com/sarukoblog/archives/5351
現在、算命学を学んでいる人、これから学ぼうとする人は、くれぐれも、慎重に学校や教室を選んで欲しい。そして、前に述べた様な陰謀論を信じる人は、うちの教室には向かないから、もっとふさわしい所を探したらいいと思う。
最後の最後に、そらまめ社長の返信を全文掲載してこの記事を閉じたいと思う。
社長が真っ当な思考を持つ人物で良かったと心から思う。
別に隊長はワクチン推進派ではないですよ。そして、様子見をしている私も、陰謀論者ではありません。
絶対的なことなど、今はないし、誰にも分からないと思います。そんな中で、それぞれが、何かを選択しなければならない。その時に、統計的なデータを見て、生き残る確率が高そうという観点で、隊長は打つ決断をしたまでです。
打った結果、どうなるかなんて、誰にも分かりません。なんともないかも知れない、ひどい目に合うかも知れない。打たなかった結果、ひどい目に合うかも知れないし、コロナに感染せず無事に過ごすかも知れない。
どっちもあり得べき未来で、そんな中で決断をしなければなりません。その時必要となるのは、陰謀論ではなく、確率論です。
私は今はまだ、未来をとって様子見ですが、コロナの株も変異しており、かかれば高確率で死にそうだと思えば、現在を何とかするため、すぐに打つだろうと思います。それだけのことです。
どうして、ワクチンと陰謀を関連付けなければ語れないのですか?隊長がこの前言っていたのも、それが、おかしいということだと思いますし、私もそれに、非常に同意です。
(さる山隊長)