算命学と四柱推命の相違

 今回は、算命学と四柱推命の相違というテーマで記事を書こうと思います。具体的には、算命学と四柱推を比較して、どの様に違うのか、どの様な点が同じなのか、或いは、似ているのかについて、簡単にですが、解説をしてみたいと思います。

 尚、この様なテーマで記事を書こうと思った切っ掛けは、私(さる山隊長)が講師を務めるさる山さる子の算命学教室、略して「さる命学教室」は、算命学を教授する学校であるにも関わらず、昨今、四柱推命を学んでいる人の受講者が多くなってきたからです。そこで、算命学と四柱推命の相違について、簡単にですが、纏めておこうと思った訳です。
 

相違点

時柱の使用の有無

 まずは、最も分かり易い算命学と四柱推命の相違点ですが、形の上では、算命学が生年月日の干支を基準として、人間の運命を考察するのに対し、四柱推命は、生年月日に加え、時間の干支をも基準として、人間の運命を考察しています。

 干支を使用した占いでは、生年・生月・生日の干支(二十八元を含む。以下、同じ。)の事を、それぞれ「柱」(ちゅう。生年の干支=年柱、生月の干支=月柱、生日の干支=日柱)と言うのですが、算命学は、主に三柱を使用するのに対し、四柱推命では、四柱(+時間の干支=時柱)を使用しています。

 即ち、算命学においては、生年月日が分かれば良いのに対し、四柱推命では、それに加え、生まれた時間が必要になります。

 これが、外形的に、一番分かり易い相違点だと思いますが、しかし、干支というものを使用して、人間の運命を考察する(占う)という点については、全く同じです。故に、算命学と四柱推命は似ていると言われ、占いに詳しい一部の人を除いては、その違いを理解している人は殆どいないのだろうと思います。
 

陽占法と陰占法の区分けの有無

 それ以外にも、算命学では、生年月日の干支から、陽占法(霊魂の世界を考察する)と陰占法(現象・行為の世界を考察する)という二つの異なる技術を作り出し、それによって、人間の運命を考察しようとしていますが、四柱推命においては、この様な明確な区分けはありません。

 尚、算命学陽占法においては、十大主星(貫索星、石門星、鳳閣星、調舒星、禄存星、司禄星、車騎星、牽牛星、龍高星、玉堂星)を算出し、人間の運命を霊魂の世界から考察する訳ですが、これらの十大主星をどの様に算出するかという方法論(組合せ)は、四柱推命の通変(比肩、劫財、食神、傷官、偏財、正財、偏官、正官、偏印、印綬)を導く際の考え方(組合せ)と全く一緒です。

 しかし、貫索星=比肩、玉堂星=印綬かと言うと、それは全く違います。即ち、同じ組合せではあっても、それをどの様に名付け、捉えているのかは違うという事です。
 

十二大従星と十二運

 又、算命学陽占法においては、十干と十二支の組合せによって算出される十二大従星(天報星、天印星、天貴星、天恍星、天南星、天禄星、天将星、天堂星、天胡星、天極星、天庫星、天馳星)というものを使用して、その人物の現実的な強さ、或いは、時間を考察していますが、四柱推命においては、十二運(長生、沐浴、冠帯、建禄、帝旺、衰、病、死、墓、絶、胎、養)というものを使用して、その人物の現実的な強さ、或いは、時間を考察しています。

 これらは、一見全く違う様に思われるかも知れませんが、その大元は、陰陽五行説において、「四時の休王」、「生死の所」をどの様に捉えているのか、という基本的な考え方にあります(この部分に興味のある方は、『五行大義』を読んでみると良いでしょう。)

 即ち、根は同じで、それをどの様に解釈し、発展させていったのか(枝葉)が異なるという事です。換言すれば、「違うけれども、同じ部分もあって、似てはいる。」という事なのだと思います。
 

天冲殺と空亡の差異

 これら以外にも、守護神と用神、蔵干(十二支の中にある十干)の取り方等、様々な差異があるのですが、その中でも比較的大きな差は、天冲殺と空亡だろうと思います。

天冲殺

 天冲殺と空亡は、どの時期がそれに当たるのかについては、同じ算出ルールが用いられていますが、それをどの様に解釈し、運命の判定や改良に用いるのか、その具体的な思想は、全くと言って良い程違います。

 即ち、四柱推命でいうところの「空亡」の事を算命学では天冲殺という訳ではないし、算命学でいうところの「天冲殺」の事を四柱推命では空亡という訳ではないという事です。もっと簡単に言えば、天冲殺と空亡は、算命学と四柱推命がそうである様に、似て非なるものだという事になります。
 

別物と言って良い

陰陽五行説

 この様に、算命学と四柱推命は、同じく陰陽説・五行説を基礎とする思想・占いであるにも関わらず、基本的な物事の捉え方、考え方に相違があり、それは、流派の別という段階を越え、全く別物という評価をすべきものであると言えます。

 尚、算命学と四柱推命の理論面における詳細な差異については、私(さる山隊長)も完璧には理解し切れていません。これは、四柱推命の基本書と言われる『淵海子平』、『滴天髄』、『窮通宝鑑』、『子平真栓』については全部読みましたが、(それらから独自の発展を遂げた日本の)四柱推命の書を本格的に学んだ事がなく、さる命学教室の受講者(四柱推命の占い師や先生。ある流派の家元もいる。)からの情報に頼るところが大きいからです。
 

成り立ちの差

 ここで、算命学と四柱推命の成り立ちの差について、解説をしておきましょう。
 

算命学の成り立ち

 算命学は、古代中国に生まれ伝えられて来たと思われますが、具体的な事は、実は分かりません。鬼谷子に始まるとか、歴代の王家に仕えたとか、テキトーな事を言っている人もいますが、何のエビデンス(証拠)もありません。

 中国では、その王朝において、必ず正史が編纂されますが、その中に「算命学」という記載はなく、算命学という名称であったのかも、万象学という名称であったのかも、又、どの様なものであったのかも、実際の事は全く分かりません。しかし、それなりの理論体系は、間違いなくあったのだろうと思います。

 第二次世界大戦後、伝承者であった中国人の僧侶が、日本国に亡命し、そこで、高尾義政という少年に「今日、算命学と呼ばれるもの」を伝授した事により、又、新たに伝承者となった高尾氏が、学んだ理論の研究に精を出し、古くから伝わる理論を纏め、或いは、新たな理論を構築し、今日の算命学を形作っていきました。

 この様に、算命学の歴史は、古代中国の殷王朝期に生まれたであろう十干・十二支・干支の成立理論(つまり、陰陽説と五行説)に端を発する事は間違いない(その意味では、少なくとも3000年以上の歴史があると言える。)でしょうが、今日の「算命学」として成立、発展したのは昭和の時代です。
 

四柱推命の成り立ち

 これに対し、今日の四柱推命の元は、中国の北宋(960~1127年)の時代に著された『淵海子平』にあると言えます。その後、明の時代に著された『滴天髄』、『窮通宝鑑』、『子平真栓』も加わり、推命術として発展します。

 尤も、これらの書籍が書かれたのは、宋代・明代であっても、その基本的な考え方(陰陽説・五行説)は、おそらくは、殷代に生まれているでしょうから、大元迄辿れば、算命学も、四柱推命も同根であろうと思います。

 日本国には江戸時代に伝わり、仙台藩の儒学者であった桜田虎門が、文政元年(1818)に『淵海子平』を翻訳した『推命書』を著しますが、ここから、日本における四柱推命が始まります。
 

思想の差

 尚、実質的に今日の算命学を造り上げたと言っても過言ではない高尾義政氏は、算命学も四柱推命も、元は共に「子平法群」と呼ばれる占術の一派であったが、それが、儒教思想の強い易的な思想を色濃く反映した一派(南学)と、儒教思想から離れ、道家的な発想を重んずる一派(北学)に別れたと述べておられます。即ち、算命学は北学派、四柱推命は南学派という事です。

 確かに、算命学の思想は、老子の流れを汲むものと言えるので、又、南学の書と分類される『子平真栓』等を読んでみても、吉凶に重きを置いている事が見て取れるので、私としては、高尾先生のこの解説は的を射ているのではないかと思っています。
 

まとめ

 以上、簡単に解説をしましたが、算命学と四柱推命は、同じく陰陽説・五行説を元とするけれども、それをどの様に解釈しているのかが異なる為、決して同じものではなく、算命学から四柱推命が生まれた訳ではないし、四柱推命から算命学が生まれた訳でもないという事が分かって頂ければ十分です。

 ところで、算命学にしろ、四柱推命にしろ、命術を学ぶに当たっては、必ず、基礎となる陰陽説・五行説、そして、十干、十二支、干支を学ばなければなりません。四柱推命の基本書である『子平真栓』には、「命術(運命学)を学ぼうと欲する者は、必ず干支の説を知らなければならない。しかる後に、入門すべき。」との記載もあります。

 しかし、算命学にしろ、四柱推命にしろ、基礎理論として、陰陽説・五行説、そして、十干、十二支、干支の成立論を教えている学校・教室・講座は殆どないのが実情です。
 

 因みに、さる山さる子は自称「日本一の」算命学の講座を開講していますが、何と、四柱推命のプロの占い師や、四柱推命を教えている学校の先生(家元)も多く勉強に来られています。

 尤も、気学や易の占い師や先生もいるので、四柱推命の方だけではないのですが、陰陽説・五行説を元とする思想や占いにも拘わらず、その基本をしっかりと教えている学校・教室が殆どないという事が分かる実例だと思います。

 算命学に限らず、陰陽説・五行説、そして、十干、十二支、干支を学びたいと思われる方は、是非、さる命学教室の門を敲いて頂ければと思います。
 

(さる山隊長)

 

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